台風や大雨のニュースが出てから買い物に走ると、必要なものと不安で足したものが混ざります。防災の準備は特別な道具をそろえる話に見えがちですが、実際には、水、食品、停電時の明かり、情報を取る手段、避難するときに持つものを分けるだけでかなり整理できます。
気象庁は、大雨で河川の氾濫や土砂災害が起きるほか、暴風、高波、高潮でも災害が発生すると説明しています。家の中でできる準備は、雨風が強くなってからではなく、その前に終えておくほど安全です。
この記事の要点
備蓄は「家族の人数×最低3日分」を出発点に、できれば1週間分まで広げます。水は1人1日3リットルを目安にし、食品は普段食べるものを回しながら増やすと、期限切れと買いすぎを防ぎやすくなります。
まず水と食品を人数で切り分ける

首相官邸の防災ページでは、飲料水は3日分、1人1日3リットルを目安に用意する例が示されています。まずはこの数字を家族人数で掛けると、買い足す量が見えます。
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| 家族人数 | 3日分の水 | 1週間分の水 | 食品の考え方 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 9リットル | 21リットル | 主食、主菜、すぐ食べられるものを少量ずつ |
| 2人 | 18リットル | 42リットル | 同じ食品だけにせず、朝昼夜で分ける |
| 4人 | 36リットル | 84リットル | 子ども、高齢者、持病、アレルギーを別枠で見る |
水の量は大きく見えますが、一度に全部を買う必要はありません。飲料用と調理用を先に確保し、生活用水は浴槽や給水袋など、家の状況に合わせて別に考える方が実用的です。
3日分と1週間分を同じ棚に置かない
最低3日分は、停電や断水の直後に迷わず使える場所へ。1週間分は、普段の食品棚に混ぜて回す形にすると続きます。缶詰、レトルト、乾麺、米、シリアル、野菜ジュース、常温保存できるたんぱく源などを、普段の食事で使えるものから選ぶと無駄が出にくくなります。
ローリングストックで無理なく増やす

農林水産省は、食品の家庭備蓄を無理なく進めるための食品ストックガイドを公開しています。考え方の中心は、災害専用の食品だけをしまい込むのではなく、日常食品を少し多めに持ち、使った分を戻すことです。
期限より先に「食べ慣れ」を見る
非常食は長期保存だけで選ぶと、いざという時に食べづらいことがあります。小さな子ども、高齢の家族、食物アレルギーがある人、塩分や糖分を控えたい人がいる家庭では、普段食べられるものを中心にしておく方が安全です。
次のように棚を分けると、何が足りないかが見えます。
- 主食: 米、パックご飯、乾麺、餅、シリアル
- 主菜: 缶詰、レトルト、豆、魚、肉、常温保存の惣菜
- 補助: 野菜ジュース、果物缶、粉末スープ、栄養補助食品
- 生活: ラップ、紙皿、ウェットティッシュ、カセットこんろ用燃料
- 要配慮: 乳幼児用食品、介護食、アレルギー対応食品、常備薬の管理メモ
情報確認は当日ではなく前日に形を決める

気象庁は、台風の影響や重大な被害のおそれがある場合に、台風情報や警報・注意報を発表すると説明しています。情報を見ること自体は大事ですが、当日に「どのページを見るか」「避難所はどこか」を探し始めると遅れます。
家族で見る画面をそろえる
スマートフォンの天気アプリ、防災アプリ、自治体サイト、テレビ、ラジオを使う家庭は多いはずです。ただし、家族全員が別々の情報を見ていると、避難判断の時刻がずれます。
前日までに決めたいのは、次の三つです。
- 気象情報を見るページやアプリ
- 自治体の避難情報を見るページ
- 連絡がつかない時の集合場所と連絡方法
台風接近中は、増水した小川や側溝、がけ、海岸、高波の見物などへ近づかないことも重要です。情報を集める目的は、外に出る理由を増やすことではなく、外に出ない判断を早めることです。
避難バッグは持ち出すものと家に置くものを分ける
避難バッグに何でも詰め込むと、重くて持てません。家で使う備蓄と、避難するときに背負うものは別にします。
持ち出し用は、両手が使える重さに抑えます。懐中電灯、携帯ラジオ、モバイルバッテリー、現金、身分証コピー、常備薬、最低限の食品と水、雨具、タオル、マスク、ウェットティッシュを、家族ごとに必要量だけ入れます。
玄関に置くものは「出る時に着るもの」も含める
台風前の避難では、傘より雨具、サンダルより歩ける靴が必要です。玄関には、バッグだけでなく、靴、雨具、帽子、子どもの上着、眼鏡、杖などもまとめておくと、出発時の探し物が減ります。
点検の順番
水と食品、情報、避難バッグ、家の外回りの順で見ると、準備が散らばりません。雨や風が強まってから屋外作業を始めないことを前提に、前日までに終える項目を決めておきましょう。
家の外回りは雨風の前に終える
気象庁の台風への備えでは、窓や雨戸を閉めて必要に応じて補強すること、側溝や排水口の水はけをよくすること、飛ばされそうな物を固定または屋内へ入れることが挙げられています。
この作業は、風が強くなってからでは危険です。ベランダの鉢、物干しざお、自転車、庭の道具、屋外ごみ箱、傘立て、看板、網戸の外れを先に見ます。集合住宅では共用廊下に物を置かないことも、避難路をふさがないために大切です。
チェックリストは1枚にまとめる
最後は、家族が見られる場所に1枚で置きます。項目は多くしすぎず、次のような短い欄で十分です。
- 水: 何リットルあるか
- 食品: 3日分はすぐ出せるか
- 電源: 充電済みか、電池はあるか
- 情報: 気象情報と自治体情報の入口
- 避難: バッグ、靴、雨具、集合場所
- 外回り: 飛ぶ物、排水口、窓、雨戸
防災は、完璧な買い物リストを作るより、家の中の置き場所と判断の順番をそろえる方が続きます。次に台風や大雨の情報を見たとき、まず人数分の水と食品が足りるか、そして外回りを安全な時間帯に終えられるかを見てください。

