米を売る、集める、加工する仕事では、「以前に届出を出したから今回は何もしなくてよい」とは限りません。新しい米穀等取扱事業の届出は2026年10月1日に受付が始まり、届出期間は2027年4月1日までです。
大切なのは、いきなり申請画面を開かないことです。出荷・販売と加工等の量を集め、精米を玄米換算し、自社がどの区分かを決めてからGビズIDと入力情報をそろえると、届出の要否を社内で説明しやすくなります。
この記事の要点
米を扱う事業者が全員一律に届出する制度ではありません。出荷・販売は20精米トン(22玄米トン)以上、米穀等取扱事業全体では300玄米トン以上が、最初の判定線です。
まずは「何をしているか」と年間量を同じ表に置く

今回の制度では、米の出荷・販売だけでなく、一定規模の加工、中食、外食なども対象になり得ます。農林水産省のQ&Aでは、生産者が自分で育てた米を消費者へ直接売る産直販売も「出荷又は販売」に含まれるとしています。
一方で、「米に関わる仕事をしている」だけでは判断できません。前年実績と当年予定のうち大きい方を使い、出荷・販売の量と加工等の買入量を集計してから、次の表で仕分けます。
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| まず見る事業・量 | 届出区分の目安 | 提出前に決めること |
|---|---|---|
| 出荷・販売が20精米トン(22玄米トン)未満、かつ米穀等取扱事業全体が300玄米トン未満 | 原則として今回の届出対象外の可能性 | 自社の業態・合算範囲に例外がないか公式Q&Aで確認 |
| 出荷・販売が20精米トン(22玄米トン)以上300玄米トン未満 | 一般届出事業者(食糧法47条) | 出荷・販売量、業態、所在地などをそろえる |
| 出荷・販売または加工等を含む米穀等取扱事業が300玄米トン以上 | 特定規模届出事業者(食糧法9条) | 取扱量・仕入先/販売先の割合・施設情報と帳簿運用を確認 |
産直だけの生産者も、量が境目なら除外しない
「農家だから対象外」ではなく、自ら生産した米を届出事業者を介さず直接販売する量も、出荷・販売の判定に関係します。反対に、自家消費や無償譲渡の米は取扱数量に含めない扱いです。
また、米を原料にしておにぎり、米粉、餅、米菓、清酒などを作る事業は「加工等事業」に含まれます。出荷・販売だけ、加工だけ、と売上の担当ごとに分けず、米の取扱いを一度集計表に戻すのが安全です。
以前の届出がある人も、今回の記載事項を見直す
農林水産省は、従来の「米穀の出荷又は販売の事業の届出」についても、届出事項が追加されたため改めて届出が必要と案内しています。過去の控えを探すことは役に立ちますが、それだけで今回の届出準備を終えないでください。
なお、2027年3月31日までに旧制度上の事業の開始・変更・廃止がある場合は、現行の届出も必要とされています。新旧のどちらを出すかを自己判断で混ぜず、該当する動きがある場合は公式案内の窓口で確認します。
20精米トンと300玄米トンを混ぜない。精米は玄米へ換算する

20トンの線は精米20トン(玄米換算で22トン)、大きな区分の線は300玄米トンです。精米は原則として「精米の重量 ÷ 0.91」で玄米に換算して、玄米と合算します。
ここでよくある失敗は、精米だけを20トン未満と見て止めることです。玄米の取扱いもあるなら、同じ単位にそろえる必要があります。主業態だけで届出区分を決めるのではなく、出荷・販売量と加工等の買入量の関係も確認します。
計算例:精米18トンと玄米5トンを販売する場合
たとえば、前年または当年予定の大きい方で、精米18トンと玄米5トンを出荷・販売する場合を考えます。
- 精米18トン ÷ 0.91 = 約19.8玄米トン
- 約19.8玄米トン + 玄米5トン = 約24.8玄米トン
この例は、出荷・販売の量として一般届出の目安である22玄米トンを超えます。実際の精米歩合と業態によって扱いが異なる場合があるため、境目では公式Q&Aと所管窓口で最終確認してください。
注意点
300トンを少し下回る年でも、対象期間内に要件を満たす見込みが判明した時点で届出が必要になる案内です。「前年が未満だった」だけで判断を終えず、当年予定も並べて見ます。
申請前にGビズID・記載情報・帳簿の担当を分けておく

届出は原則として電子申請です。公式の流れは、GビズIDを作成 → eMAFF申請2.0で届出 → 農林水産省が受理となっています。提出期限の直前に一人で抱え込まず、ID、数量、事業情報、保存記録の担当を先に分けましょう。
4月1日までの準備順
- 1. 集計:前年実績と当年予定のうち大きい方を、出荷・販売と加工等に分けて集計する
- 2. 換算:精米を玄米換算し、20精米トン/22玄米トン、300玄米トンのどちらに近いか確認する
- 3. ID:GビズIDの利用者と、法人番号・屋号または氏名・所在地・連絡先を確認する
- 4. 入力情報:主な業態、数量、仕入先・販売先/使用先の割合、とう精施設・定温倉庫などの施設情報を担当者へ確認する
- 5. 保存:eMAFF申請2.0で届出後、控えと帳簿をどこに3年間保存するか決める
届出書では、GビズID由来の事業者情報のほか、事業の開始時期、届出区分、主な業態、数量などを扱います。法人名・屋号や住所は、登記・開業届等との表記をそろえる必要があるため、経理・総務・現場で別々の表記を使っていないかも確認対象です。
提出して終わりではない。帳簿を3年間残す
届出事業者には、必要事項を記載した帳簿を紙または電子で3年間保存する案内があります。特定規模届出事業者では、在庫量などの定期報告も関係します。提出担当だけでなく、販売・仕入れ・在庫を持つ担当と、どのデータを残すかを決めておくと、後から集め直す負担を抑えられます。
これは一般的な制度の読み方をまとめたもので、個別の対象判定や法的な助言ではありません。20トン・300トンの境界、フランチャイズや複数業態などは、必ず農林水産省のQ&Aと所管窓口で確認してください。
