結論から言うと、5大商社の2026年3月期決算(2026年5月1日一斉発表)は 「非資源3社が最高益更新、資源依存2社は減益」 という明暗が分かれた。純利益首位は 伊藤忠商事の9,003億円(3期連続最高益)。

一方、三菱商事は▲15.8%減益となったが、2027年3月期は +37%増益で1兆1,000億円 と再加速を計画する。
バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの保有額は 約5.5兆円(353億ドル) に達し、後任のアベルCEOも継続保有を明言した。資源・円安・株主還元・バフェット効果──4つのレンズで5大商社の現在地を整理する。
2026年3月期決算の結論|純利益ランキングと明暗
5大商社(三菱商事・伊藤忠商事・三井物産・住友商事・丸紅)の2026年3月期は、純利益で 伊藤忠が初の首位 に立った。
| 企業 | 銘柄コード | 純利益(億円) | 前期比 | 区分 |
|---|---|---|---|---|
| 伊藤忠商事 | 8001 | 9,003 | 増益(3期連続最高益) | 非資源 |
| 三菱商事 | 8058 | ── | ▲15.8% | 資源依存 |
| 三井物産 | 8031 | ── | ▲7.4% | 資源依存 |
| 住友商事 | 8053 | ── | +18.6% | 非資源 |
| 丸紅 | 8002 | 5,100 | +1% | 非資源 |
非資源比率の高い伊藤忠・住友商事・丸紅の3社が前期比増益、資源依存度の高い三菱商事・三井物産が減益となった。鉄鉱石・原料炭などの市況軟化と円高方向の振れが資源2社の利益を押し下げた格好だ。
なぜ「資源 vs 非資源」で勝敗が分かれたのか
5社の業績格差の要因は大きく3つに分解できる。

- 資源価格の軟化 ── 鉄鉱石・原料炭・LNGなどコモディティ価格が前期に比べ調整局面入り。資源収益依存度が高い三菱商事・三井物産が直撃を受けた。
- 円相場の振れ ── 連休中の急騰・介入観測などで円高方向に振れる場面が増え、ドル建て資源収益の円換算額が縮小。
- 非資源分野の好調 ── 伊藤忠は食料・繊維・住生活・機械など消費系・産業系が好調。住友商事はメディア・自動車・金融など非資源領域がけん引、機械や食料事業も追い風となった。
市場関係者の見方では、商社の利益構造はかつての「資源一本足」から「非資源を含む多角的ポートフォリオ」へ既にシフトしている。今期の決算はその違いが鮮明に出た形だ。
バフェット5.5兆円保有|新CEOアベル体制でも継続方針
バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、2019年以来5大商社株を継続して買い増ししてきた。2026年時点の保有状況は以下の通り。
| 企業 | バークシャー保有比率(2026年時点) |
|---|---|
| 三菱商事 | 10%超 |
| 三井物産 | 10%超 |
| 住友商事 | 9%台 |
| 丸紅 | 9%台 |
| 伊藤忠商事 | 9%台 |
バークシャーの5大商社・損保株の保有総額は 約8兆円規模、5大商社だけで 約5.5兆円(353億ドル) とされる。これはバークシャーの上場株ポートフォリオ全体の 12%程度 を占める。
バフェット氏は2025年に発表された最後の株主への手紙で「保有比率上限10%を緩和することで各社と合意した」と明らかにし、買い増し意欲を示した。2026年1月にCEOに就任した グレッグ・アベル氏 も初の株主への手紙で、商社株を 「重要度や長期的価値創造で主要米国銘柄に匹敵する」 と評価し、長期保有方針を明確にしている。
つまり「バフェット引退で売られるのでは」という市場の懸念は、新体制でも明確に否定された形だ。
2027年3月期見通しと配当・自社株買い|個人投資家の注目点
2027年3月期は、減益組も再加速する強気のガイダンスが並ぶ。

- 三菱商事:純利益 +37%増の1兆1,000億円、QUICKコンセンサス(8,783億円)を大幅に上回る。カナダLNGや三菱食品完全子会社化、米エーソン買収(約1.2兆円)が利益貢献
- 伊藤忠商事:純利益 +6%増の9,500億円 で3年連続最高益更新を計画
- 配当:三菱商事は年間配当を 125円へ15円増配(+13.6%)。伊藤忠は 12期連続増配(株式分割後ベースで実質+2円)と、3,000億円超の自社株買い 計画を発表
- 住友商事:6月30日基準日で 1株→4株の株式分割、加えて 上限800億円・2,200万株の自社株買い(5月7日〜2027年3月31日)を同時発表
- 中期計画:三菱商事は2028年3月期に純利益1兆2,000億円を計画
個人投資家にとっての注目ポイントは3つ。
- 資源価格の反転で減益組(三菱・三井)の業績モメンタムが復元するか
- 配当・自社株買い による株主還元の継続性
- バフェット買い増しによる需給面での下支え効果
短期では決算後の株価ボラティリティに警戒だが、構造的には「配当+自社株買い+業績再加速」の三拍子が揃いやすい局面と言える。
よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ5大商社で業績に差がついたのですか?
資源価格の軟化と円高の影響を受けた 資源依存度の高い三菱商事・三井物産が減益、消費・産業系の非資源領域が好調な 伊藤忠・住友商事・丸紅が増益 となり、ビジネスモデルの違いが鮮明に出ました。
Q2. バフェット引退で日本商社株は売られませんか?
2026年1月にCEOに就任した グレッグ・アベル氏が初の株主への手紙で長期保有方針を明言。「主要米国銘柄に匹敵する重要性」と評価しており、市場では売却懸念は後退しています。
Q3. 5大商社の中でどれが一番割安ですか?
本記事は投資助言ではありませんが、PER・PBR・配当利回りなど指標の確認に加え、資源 vs 非資源の事業ポートフォリオ、株主還元の継続性、中期計画の達成可能性 を総合的に見る視点が一般的です。具体的な銘柄選定はご自身の判断でお願いします。
Q4. 2027年3月期で再び業績格差はつきますか?
三菱商事の +37%増益(1兆1,000億円) ガイダンスを筆頭に、減益組の再加速が予想されています。資源価格の動向次第ですが、市場関係者の見方では「資源2社の業績モメンタム復元」が来期の焦点とされています。
Q5. 商社株は高配当株として今も妙味がありますか?
伊藤忠の12期連続増配、三菱商事の+15円増配、住友商事の800億円自社株買い など、株主還元は引き続き強化方向です。配当利回りは銘柄により異なりますが、長期保有目線では引き続き注目セクターと評価されています。
まとめ|注目すべき3つのポイント

5大商社は「資源一本足」から「非資源を含む多角化」へ既に進化済み。今期の業績格差はその違いが顕在化した結果と言える。
- 2027年3月期は減益組の再加速 ── 三菱商事の+37%増益ガイダンスが象徴的
- バフェット保有は新CEO体制でも継続 ── 上場株ポート12%、5.5兆円規模の安心感
- 配当+自社株買いの株主還元競争 ── 伊藤忠12期連続増配、住友の分割+800億円買い
「派手なAI関連だけが日本株ではない」──資源・非資源の両輪を回す商社株は、中長期投資家にとって引き続き本命の一角だ。
免責事項
※本記事は2026年5月7日時点で公表されている情報に基づき作成しています。相場見通しや個別銘柄の投資判断を保証するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。
主な参考情報源: 日本経済新聞、ダイヤモンド・オンライン、東洋経済オンライン、SBBit、株探ニュース、QUICK、Yahoo!ファイナンス、CNN.co.jp、伊藤忠商事公式IR、三菱商事公式IR。