結論から言うと、新NISAは制度開始から約2年で 口座数2,826万・累計買付額63兆円超 に達し、政府目標(2027年末3,400万口座・56兆円)の買付額を既に上回るペースで普及している。
若年層の主役は eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)とS&P500 で、個別株では 高配当株への資金集中 が顕著だ。さらに2027年1月から こどもNISA(0〜17歳・年間60万円・限度額600万円)が始動予定で、家計マネーの株式シフトは中長期のトレンドとして加速する。

本記事では、最新の利用状況、若年層の銘柄選好、日本株への需給インパクト、そして2027年制度拡張までを整理する。
新NISA最新統計|口座2,826万・累計買付63兆円の現在地
金融庁の調査によれば、2024年に大型拡充された新NISAは、家計マネーを株式へ動かすドライバーとして機能し続けている。

| 指標 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| NISA口座数(2025年12月末) | 約2,826万口座 | 2023年末1,428万口座から+約1,400万 |
| 政府目標(2027年12月末) | 3,400万口座 | 達成可能ペース |
| 累計買付額(2025年6月末) | 約63兆円 | 政府目標56兆円を既に突破 |
| つみたて投資枠 年間買付額(2025年) | 6兆2,401億円 | 1口座あたり約22万円/年 |
| つみたて投資枠 対象商品本数 | 347本(2026年1月時点) | 低コストインデックス中心 |
つみたて投資枠の月平均積立額は約 18,400円/口座 で、想定以上の浸透ぶりが浮き彫りになっている。
若年層の主役は「全世界株・S&P500」|選好構造の3つの要因
各証券会社の年代別ランキング(マネックス・楽天・SBI等)を見ると、20〜30代のつみたて投資枠では eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) と eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) が圧倒的に支持されている。背景は3つに分解できる。
- コスト感度の高さ ── 信託報酬0.05〜0.09%台の低コストインデックスファンドが定番化。手数料負担を最小化したい若年層と相性が良い
- 国際分散と長期積立への信頼 ── 全世界株は1本で約9,000銘柄、S&P500は米国大型株500銘柄に分散。投資経験が浅くてもリスクを抑えやすい
- SNS・YouTube経由の情報共有 ── インデックス長期投資の情報が体系化されており、誰でも再現可能な投資法として広まった
市場関係者の見方では、この選好は中期的にも継続性が高い。日本株個別銘柄に資金が回りにくい一方、海外株式市場への安定的な資金流入を生み出している構造だ。
成長投資枠で買われる日本株|需給インパクトの中心は高配当株
成長投資枠(年間240万円・5年で1,200万円)の個別株動向では、楽天証券・SBI証券・野村證券などの月次ランキングで 高配当株への資金集中 が共通して観察される。

| カテゴリ | 代表的な銘柄例 | 選好理由 |
|---|---|---|
| 高配当・自社株買い | 三菱商事、JT、NTT、KDDI、三菱UFJ | 配当利回り3〜5%、累進配当政策、株主還元強化 |
| 半導体・AI関連 | 東京エレクトロン、アドバンテスト、イビデン | 業績モメンタムと話題性 |
| メガキャップ | トヨタ、ソニーG、ファーストリテイリング | 知名度と長期保有適性 |
| 累進配当の老舗 | 花王、武田薬品、KDDI | 連続増配株として安定感 |
特に メガバンク・通信・商社・たばこ といった高配当株セクターは、新NISA成長投資枠を通じた個人マネーの流入が継続している。日銀の利上げ局面で配当利回りの魅力が相対的に低下しうる一方、株主還元強化の流れがNISAマネーの吸引力を維持している構図だ。
需給面では「個人による長期保有株」の供給が増え、ボラティリティが緩和される効果も指摘されている。
2027年「こどもNISA」開始と中長期見通し
2026年度税制改正大綱で、未成年向けの非課税投資枠「こどもNISA」が決定した。主な内容は以下の通り。

- 対象年齢:0〜17歳の未成年者
- 年間投資枠:60万円(つみたて投資枠の年齢要件を撤廃)
- 非課税保有限度額:600万円
- 対象商品:つみたて投資枠と同じ低コストインデックス中心
- 引き出し制限:12歳以降は子の同意で親権者による払出し可能
- 施行時期:2027年1月1日(予定)
- 18歳到達時:通常のNISAへ自動統合、非課税期間の制限なし
このスキームにより、家計の株式投資参入年齢が0歳まで引き下がる。長期インパクトは大きく、注目すべきポイントは3つ。
- 若い世代から インデックス投資が標準化 され、家計貯蓄から投資への流れがさらに太くなる
- 教育資金準備の手段として 生命保険・学資保険からの代替 が進む可能性
- 証券会社にとっては 若年層・親世代の長期顧客化 が新たな競争軸に
短期的な株価インパクトは限定的だが、5〜10年スパンでは日本株市場の安定的買い手として機能していくとみられる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 新NISA口座は何歳から開設できますか?
現行制度では 18歳以上 が対象です。2027年1月開始予定の「こどもNISA」により、0〜17歳の未成年もつみたて投資枠を利用できるようになる見込みです。
Q2. 20〜30代の人気銘柄は何ですか?
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) と eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) が圧倒的人気です。低コストで国際分散できるインデックスファンドが選好されています。
Q3. NISAで日本株を買うなら何が人気ですか?
楽天証券・SBI証券などの月次ランキングでは、三菱商事・JT・NTT・KDDI・三菱UFJ などの高配当株、および 東京エレクトロン・アドバンテスト・イビデン などの半導体関連が常に上位です。配当利回りや株主還元方針を重視する傾向が見られます。
Q4. つみたて投資枠と成長投資枠の違いは?
つみたて投資枠 は年間120万円、対象は金融庁が認定した347本の低コストインデックス中心。成長投資枠 は年間240万円、対象は個別株・ETF・投資信託・REITなど幅広く、合計で年間360万円まで非課税で投資できます。
Q5. こどもNISAで何が変わりますか?
0歳から年間60万円・限度額600万円 で非課税の積立投資ができるようになります。親や祖父母が子・孫の名義で積立てる形が想定され、教育資金準備や金融教育の新しい手段として注目されています。
まとめ|注目すべき3つのポイント
新NISAは制度開始2年で家計マネーの株式化を加速させ、日本株需給の構造を変えつつある。
- 口座2,826万・買付63兆円 ── 政府目標を上回るペースで普及、つみたて投資枠で年間6兆円超が流入
- 若年層の主役は全世界株・S&P500 ── 個別株では高配当株への資金集中が継続
- 2027年こどもNISA開始 ── 0歳から非課税投資、家計マネー構造変化が加速
「貯蓄から投資へ」のスローガンが現実の数字として動き始めた──これが2026年の日本株を読み解く重要な軸の一つだ。
免責事項
※本記事は2026年5月7日時点で公表されている情報に基づき作成しています。相場見通しや個別銘柄の投資判断を保証するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。
主な参考情報源: 金融庁、日本証券業協会、日本経済新聞、ダイヤモンド・ザイ、楽天証券、SBI証券、マネックス証券、野村證券、株探、NRI(野村総合研究所)、トウシル。